プロジャズギタリストが選ぶ、バーニー・ケッセル(Barney Kessel)の名盤/アルバム【TOP 3】

2017年横濱ジャズプロムナードのジャズ・コンペティションでグランプリを受賞、翌年にはアメリカのデトロイト・ジャズ・フェスティバルに出演するなど、若手ながら輝かしい功績を残しているジャズギタリスト浅葉裕文。
今回は「国内で最もバーニー・ケッセル(Barney Kessel)に近い男」である浅葉に、バーニーの名盤を3枚選んでいただきました。

1位 ザ・ポール・ウィナーズ(The Poll Winners)

プロが選ぶバーニー・ケッセル(Barney Kessel)のアルバムベスト3ということで、「さぞマニアックでだれも知らないようなアルバムを選ぶだろう、さすがアサバーニー」などという皆さんの期待を(してない?)あっさり裏切って、ド定番中のド定番です。ザ・ポール・ウィナーズ(The Poll Winners)は再会セッションも含めて全部で5作品出ていますが、私は1枚目が1番お気に入りです。

もちろん『ザ・ポール・ウィナーズ・ライド・アゲイン』(The Poll Winners Ride Again)『ザ・ポール・ウィナーズ・スリー』(The Poll Winners Three!)『エクスプローリング・ザ・シーン』(Exproling The Scene)もお気に入りですが、なんといってもこの1枚目の2曲目“Satin Doll”

「こんなアドリブができたら…。こんな風に自由にギターが弾けたら…。」
聞くたびにそう思います。

最初はキャッチーかつブルージーなソロでだんだんとコードで自らバッキングを入れて徐々に盛り上がり、3コーラス目は16分でファイアーと言わんばかりに弾きまくり、4コーラス目はコードソロ。
もう歌いまくり、一人オーケストラ。
徐々に盛り上げていく構成のうまさが、素晴らしいジャズギタリストであると同時に素晴らしいエンターテイナーでもあるなと感じます。

3曲目“It could Happen To You”の上品できれいなオープニングのギター、可愛らしいソロもいいですね。
4曲目“Mean To Me”のノリノリのソロ、6曲目“On Green Dolphin Street”も最高。
このアルバムに限らず、バーニーのアルバムはどれも聞いてて飽きないんですね。
ソロの長さもちょうどいい。小粋なアレンジ、ポールウィナーズでは3人それぞれ活躍できるアレンジも素敵。
憧れです。

そうそう、『ザ・ポール・ウィナーズ』(The Poll Winners)が世界で初めてのギタートリオ(ギター、ベース、ドラム)のアルバムだそうです。
バーニーがギタートリオをやりたいと思い立ってContemporary Recordsのオーナーレスター・ケーニッヒ(Lester Koenig)に相談したところ、レスターが「どうせギタートリオをやるなら全員人気投票ナンバーワンのメンバーでいこう」となり、このメンバー、このタイトルになったとのこと。
初ギタートリオのアルバムがジャズギター界の、いや、ジャズ界の金字塔。
恐るべしです。

2位 オン・ファイアー(On Fire)

On fire オン・ファイアー

正直順位をつけなくてはいけないのでこちらを2位にしましたが、同率1位でもいいくらいです。
とてつもなくスウィングしまくる熱いライブアルバムOn fire!!

1曲目の“Slow Burn”からもうやられますね。かっこいいフレーズの宝庫。ブルージーでご機嫌で最高。
バーニーのオリジナルブルースは簡単なリフ物が多いのですが、こちらも単純な単音のメロディにバーニーのコードが入っていいですね。古き良きアメリカって感じ(?)。

そして2曲目の“Just In Time”。はえー!!もう周りはついていくので精一杯な感じ。それがまたいいんですよ。聞いてるほうはドキドキワクワク楽しいですよね。エンターテイナーですねー。

バラードも“Shadow Of Your Smile”“Who Can I Turn To”とありますが、とくに“Who Can I Turn To”は涙ちょちょぎれものです。美しいメロディを美しい音で。テーマだけで終わるってのもにくい演出ですね。
夜、散歩しながら聞くと気持ちいいですよ。

B面1曲目の“Recado Bossa”もキレッキレで止まらないソロ、まさにオンファイアーです。

そしてラストは“One Mint Julep”
もうこれもかっこいいフレーズの宝庫。めちゃくちゃコピーしましたし、これからもコピーしたいフレーズまだまだあります。コードソロもかっこいい。最後のメンバー紹介もかっこいい(笑)エンディングなんてもう盛り上がらざるおえないエンディング。
このアルバムみたいなライブをできたらっていつも思いますね。憧れです。

そして豆知識ですが、このアルバムのメンバーとバーニーはこの日初めて演奏したそうです。
一曲目の“Slow Burn”はもちろんリハなし。まあジャズミュージシャンではよくある話ですが。
でも、それでこのアルバムの完成度ってのはよくある話ではないですね、ものすごいことですね…。
レーベルはバーニーと当時のバーニーの奥さんでやってたそうです。
親レーベル(?)のオーナーはバーニーの大ファンであるフィル・スペクター(Phillip Spector)。
フィルスペクターが子供の頃、バーニーにファンですと手紙を送ってしばらく文通もしていたそうです。

3位 トゥ・スウィング・オア・ノット(To Swing or Not to Swing)

ぼくにとってバーニーのアルバム1位、2位は絶対これっていうので何年も変わっていません。
しかし、3位を選ぶのは難しいですね…。

『イージー・ライク』(Easy Like)『プレイズ・スタンダード』(Plays Standards)もいいなー」

とか、

「他のポールウィナーズシリーズもいいなー。
バーニーがサイドマンとして参加しているハリー・エディソン(Harry Edison)の『スウィーツ』(Sweets)、エラ・フィッツジェラルド(Ella Jane Fitzgerald)の『デューク・エリントン・ソングブック』(Sings the Duke Ellington Song Book)、ハンプトン・ホーズ (Hampton Hawes)の『フォア!』(Four)もいいよなー…。
てか50年代の(とくに54年くらいからの)バーニーは全部いいよなー。」

なんてたくさんお気に入りはあるのですが、今回はこちらを選びました。

『トゥ・スウィング・オア・ノット』(To Swing or Not to Swing)は、ハリー・“スウィーツ”・エディソン(Harry “Sweets” Edison)、ジョージー・オールド(Georgie Auld)、ジミー・ロウルズ(Jimmy Rowles)などの素晴らしいミュージシャンとの全編小粋なアルバムです。

一曲目の“Blues”“Indiana”は小粋にスピーディーにスウィングしまくり。
ピアノがいるからかギターソロは単音のみですが、それでも楽しくキャッチーにスウィングしまくる。
うーん、こんな風に弾きたい…。

“Louisiana”はバーニーのソロはもちろんですが、スウィーツのトランペットがいいですね。
“Moten Swing”とかその他の曲もそうだけど、テーマのハモリとかアレンジもバーニーはうまいです。

そして、最後の“12th Street Rag”
これはもう楽しいですねー。。。最高でしょう。このアルバムで1番好きかもしれない。スウィングしまくり。アレンジもすごく好き。
バーニーは明るくて楽しくて小粋で、っていう面がよく分かるアルバムです。

終わりに…

さて、いかがでしたでしょうか?
ぜひこれらのアルバムを、できればレコードで、さらにできれば音響のいいところで聞くとさらに良さが分かります。
どうしてもCDや、MP3だと音が潰れてしまう気がします。
レコードをいい音響のところで聞くと出音が違うし、より立体的に聞こえます。
どこでメンバーが弾いているかとかも分かるときがあります。

ぜひ試してみてください。